若き日の恋を経て

と、言っても私の思い出を語るのではなく・・・

ピアノの魔術師と称された22歳の若きフランツ・リストは、社交界の花・マリ―・ダグー夫人と互いに魅かれあい、2年後にはスイスに駆け落ちします。(そして二人の間の娘は後にワーグナーの妻になると言うドラマのような現実!)

 

リストはその地での印象を30歳の時、19曲からなる「旅人のアルバム」として出版、その後、また10数年を経て、曲を推敲し、新たな作品も加え全9曲の「巡礼の年報」(第1年・スイス)のタイトルで世に出しました。

この時には二人の関係はすっかり終わっていたとか・・・

 

加えられた曲の一つが、この「嵐」。

スイスに馴染みの深いイギリスの詩人・バイロンがスイスの嵐をうたった詩を源泉として、音楽で見事な描写を成し遂げました。

リスト・45歳、作曲家としても巨匠の域、ピアノの技巧面もすさまじいものがあります。

表現の手段として、求める音量を現わす記号ひとつをとっても、f(フォルテ:強く)、ff(フォルティッシモ:大変強く)、fff(フォルティッシッシモ:ffより更に強く)といった激しさ。オクターブの連続で一層迫力が増します!