よくある質問?!

コンサート終演後やパーティーなのでお客様から「どれくらい練習しているんですか?」と尋ねられたり、生徒さんや親御さんから「ピアノの練習は何時間くらいしたら良いですか?」と言った質問を受ける事があります。

きっと実際に曲を曲らしく弾いいる時間のことをお尋ねなのでしょう…

勿論、実際に音を出す練習をしないと仕上がらないのですが、全体を通してコンサート気分で弾いているばかりでなく、それ以前にすることや、弾けない時間にできることもあるので、まずそちらが大切だと思います。

また時間の長さ以前に如何に合理的かつ集中して練習しているかが重要です。

 

ピアノの前に座らずとも楽譜をしっかり読み込んでおくと、実際の練習がはかどります。

初歩の段階で音楽を聴いたり、歌を歌ったりすることと共に、やさしい楽譜から音の流れのイメージをつかめるような読譜の仕方を習慣づけると良いです。

同時に運指のポジションやパターンを身につけて行きます。

能力が備わって来ると、練習していないのに徐々に短時間でさっと弾けるようになり、また、ある程度の作品ならば初見で演奏することも可能になります。

 

それだけでは解決しないようなもっとメカニックな技術が必要な曲や、多声部で構成されている曲などは、部分に区切ってパートごと、或いは片手づつ分けて、余裕のある速さから習得していく…と言った丁寧な練習が必要です。

そこでは初めから強弱やニュアンスも付けて弾くと速く完成します。

また、小さな部分から→形式的にまとまりのある大きな部分→曲全体と細部を大事にしながら、全体を俯瞰できるような構成力も備えたいものです。

どの練習をする時も、理想型をイメージしてから弾くと効果的だと思います。

色々ありますが、そうしていると暗譜にも役立ちますので、是非オススメです!

 

このように文章にするとちょっと難しいように感じるかも知れませんね。

人によってピアノを弾く目的や目標が違うので、その仕上がり具合のハードルも様々。

同じである必要はないので、自分が納得する所に照準を合わせたら良いと思います。

ただ、共通しているのは「“何か”を表現すること」

自分で選曲した場合など特に、その曲をどこかで聴いて魅力を感じたり、感動したから弾いてみたいと思ったのではないでしょうか?

“何か” と言うのは、その「魅力」や「感動」した要因です。

例えば…

・メロディーだけでも自分の指で奏でてみたい…と思ったり。

・優しい曲想に癒されたから自分でも弾いてみたい。

・聴いていてとにかく楽しくなった!

・迫力に圧倒されたのでカッコ良く決めたい!

・急速な指の動きで華麗に演奏したい!

・作品や作曲者の思いに共感し、深く追求してみたい…等々。

その中のどれか、または複数、或いは全部でしょうか?

いずれにしても、まず自分が感じたその「何か」を再現できるようにイメージして練習をすれば良いのです!

少しでも近づけたらOK!

また磨きをかけたくなることでしょう!

 

と、練習内容の話ばかりでしたので、最後に練習時間の話題を少し。

歴史的な大ピアニスト・アルトゥール・ルービンシュタインは「1日に3時間、4時間以上弾いてはいけない。誰もそれ以上長く集中力が保てない。残りの時間は人生、愛、様々な芸術など世界に満ちている素晴しいことに使うべきだ。もし、1日中、練習室にこもっていたら、その人の音楽は何を表現できるようになるのだろう?」

 

天才肌の巨匠の言葉は真実ですが、「何時間くらい練習するのですか?」との質問に、普通の人間の私は「リサイタルやコンチェルトに備える時は、集中力と体力が持続する2時間を1クールにして、休憩を取りながら、数クール練習しています。」とマジメにお答えしています。

リアクションは「え?プロでもそんなに練習するんですか?」または「やっぱり専門家はスゴイですね!」のどちらかです。(笑)

 

ピアノに携わっている人がみんな何時間も弾ける環境にあるわけではないですし、先に触れたように目的、目標、年齢によっても違うので、「ピアノの練習は何時間くらいしたら良いですか?」の問いには「自分の音に耳を傾け、頭と心を使って、10分でも20分でも捻出した時間を大切に使うこと」と回答しています。