小さな世界から

今日は古典派のソナチネのレッスンが課題でした。

「規模の小さなソナタ」「可愛いソナタ」と言う意味の2~3楽章から成る作品で、様々な作曲家によって生み出されました。

曲想、内容に概ね深刻なものは無く、学習用に長年愛用されています。

 

ところで、小さなソナタの、「ソナタ」って?

sonare=「鳴り響く」と言う意味のイタリア語からきた器楽曲の名前。

古典派のソナタでは基本的に多楽章(3~4楽章)から構成された器楽曲で、第1楽章は「ソナタ形式」で書かれています。

 

では、「ソナタ形式」って?(笑)

〈*序奏/イントロダクション〉―主題提示部―展開部―再現部―〈*コーダ〉の構成で、提示部ではまず、2つの主題(曲を構成する主なメロディー)が登場し、それを元に中間部で発展させ、そして初めの主題が再び奏でられるというのが基本的な形式です。

ソナチネでは小さな作品なので<*>はありません。

 

更に詳しく説明しますと…

第1主題が躍動感があるものなら、第2主題は滑らかに、反対に第1主題が穏やかであれば、第2主題は軽快に…と言う感じで対照的なキャラクターを持たせています。

また、第2主題は、第1主題が長調ならば5度上の調(属調)に、短調の曲ならば3度上の長調(平行調)に転調(曲の途中で調が変わること)します。

そして展開部では主題を元にどんどん音楽を発展させ、幾つかの転調を巡らせて推進力や立体感を増していきます。

再現部は元の調と、主題に戻り、転調せずに帰結感を持って曲を閉じます。色々と旅をした後、自分の家に戻ってきた感じ(笑)。

 

このように、建築物のごとく組み立てられていますが、「形式美」に重きを置いてた時代に発展した音楽で、その雛型を学ぶのに丁度良い作品です。(その後の時代…ロマン派以降も脈々と受け継がれています)

ソナタはピアノのためだけでなく、ヴァイオリンもチェロもフルート…等、様々な器楽のために作曲されています。

また、この形式を用いて、「弦楽三重奏」等の室内楽や、オーケストラのためのソナタである「交響曲」(シンフォニー)、ソロ楽器とオーケストラのための作品として「協奏曲」(コンチェルト)があります。

まさにクラシックの王道の担う大切なスタイルですね!

そう考えると、可愛いソナチネも壮大な作品たちに繋がる第1歩に思えてきませんか?

 

生徒さんは、今回初めての曲でしたが、短期間の準備だったのに関らず、或る程度つかんで弾いていましたので、全体の形式感を把握することと共に、主題のキャラクターの違いを表現することや、その間を繋ぐ経過句(音階などの素早いパッセージ)の役割や粒の揃え方、転調の妙など、小さな作品にもちょっと工夫すると輝きが増すことを伝えました。

しっかり吸収できたので、きっと素敵に仕上がると思います。