ピアノの先生をされている方で、ご自身の研鑽や担当している生徒さんへの指導法を学ぶため、レッスンに来られている方々がおられます。
その一人が先日からリストの作品に取り組まれています。
リストの生涯の中で作風は変化していきますが、様々なピアノ演奏テクニックを要する作品で、まず細かい装飾音やパッセージの連続の処理に苦労されていました。
細かい音符に目がいきがちですが、根・幹・軸…にあたる部分、パートに着目すると、目から鱗!になる場合が多いです。
細かい音符は一旦置いて…
・バスのパートがある曲ならば、その進行を把握して弾く。
・伴奏部(和音やアルペジオなど)のハーモニーの進行を感じて弾く。
・それらの拍子感やリズム性を十分身につけておく。
・主旋律のみ弾いて、息の長いフレーズを表現。
遠回りなようでも、それらをしっかり身につけてから弾くのと、全部くっつけて迷いながら何度も弾くのとでは練習効率と完成度が違ってきます。
勿論、細かい装飾やパッセージのみを取り出して練習します。(順を追って書いてみます)
・連符の表記がなければ幾つ音があるのか確認し、拍感を持って分析。
・ふさわしい運指を決定する。
・必要なら手首の動きをプラスする。
・拍感を感じさせない自然な流れを出す。
・主旋律と結合してみる。
・更に効果的なディナーミク(クレシェンドやディミヌエンンド)を工夫する。
色々な角度からの練習を重ねたら、いよいよ他のパートと両手でアンサンブルします。
そうすると、たどたどしさから抜け出せて、滑らかな流れやダイナミックな表現が可能に!
「急がば回れ」方式で解決です。
この方は沢山の生徒指導とご自身の子育て真っ只中ですが、いつも月に1度コンスタントに通われている生徒さんで、「頑張ります!」と意欲的に帰られました。