夜の女神は何を思う

誰もが耳にしたことがあるショパンの「ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2」

作品番号までご存知なくても、ショパンの作品の中で、否、ピアノ曲の中で、いやいやクラシックの中で…最も親しまれている名曲のひとつですね。

 

Nocturneノクターン:夜想曲はラテン語のNox:夜を語源とし、古代ギリシャやローマの神話にも「夜の女神」として登場します。

音楽の世界では、ショパンより30歳ほど年長の作曲家・ピアニストのジョン・フィールドによって創始されました。

アイルランド生まれで、ちょうどベートヴェンと同じ時代、ヨーロッパ各地で活躍し、後にロシアに渡り、グリンカなど素晴らしい作曲家を育てた音楽家です。

当時のピアノの楽器性能の向上により、ダンパーペダル(音を伸ばしたり、複数音を混ぜたりする)が発達し、幅広い音域のアルペジオ(分散和音)の伴奏型が奏でられるようになりました。

そこでオペラアリアのように繊細で息の長いメロディーをのせ、ピアノ曲として生み出したのです。

ロマン派の先駆けとなる手法と作風は、多くの若き作曲家に影響を与え、彼を敬愛していたショパンもそのスタイルを踏襲しながら独自のノクターンを創造していきました。

 

ショパンは21曲のノクターンを残していますが、その美しいメロディーとクリスタルのような装飾音は勿論のこと、ハーモニーの変化が大変魅力的です。

グラデーションのように微妙に移ろう進行や、ハッと意表を突くような展開が作品をより豊かにしているのです。

また、後には精神性の深いもの、ドラマ性を帯びたものまでノクターンを発展させていきました。

今回は21歳の作品、最もポピュラーなノクターンをお届けします。

「夜の女神」は如何に思うでしょう…?