あの時間と空間で

コンサートは実際に演奏が始まる前から「その時」へのプロローグが始まっていると思います。

「その時」とは、音楽で迎えるクライマックスの共有です。

 

開演前独特のワクワク感や緊張感。

ステージのライトの照度が増し、いよいよ演奏者が登場する時の期待と華やぎ。

拍手が止んで、瞬時に静まり返るホール。

息を飲んでお客様と演奏者が一体となって、最初の一音を迎えるのです。

 

そして、やり直しのきかない、消しゴムで消せない、修正のできない、ただ1度の機会に懸け、集中し全身全霊で音を紡いでいく…

偉大な作曲家の残した作品が芸術として息吹を得るのも、演奏があってこそ。

その演奏も、聴いて下さる方があってこそ成り立つ。

作品・演奏者・お客様の3者が揃って創造していくわけです!

 

同じ時間、同じ空間を共有し、奏でる者と聴いて下さる方が、一つの同じ音楽によって共感する中で、最高潮の時=感動の瞬間を得られたら、私は他で味わう事のできない幸せを感じます。

自分の至らなさで、そんな経験はめったに出来ませんが…

だからこそ、ずっと追求して行きたくなるのでしょう…

 

嬉しいことに、リアルな演奏を望んでくださる声が届き始めています。

その機会を実現するため、準備を始めています。

今しばらく時間を要しますので、その間、せめて…と思い、久しぶりにコンサートのステージ演奏をYou TubeにUpしました。

曲はショパンの「華麗なる大ポロネーズ」です。

 

ショパンは20歳の頃、母国ポーランドを離れ、ウィーンでピアニスト、作曲家としての活躍を目指しました。
そこで、ポーランド人の誇りであり魂である代表的舞曲「ポロネーズ」(正しくポーランド風と言う意味)のスタイルを選び、大変華やかでピアニスティックな作品を用意したのです。

ポロネーズの勇壮なリズム、煌めく技巧、華麗でドラマティックな曲調は若きショパンの意気込みを感じます。

そしてその後、パリで名声を得ていたショパンは、3年後にこの曲の序奏として甘く流麗なノクターン風の「アンダンテ・スピアナート」を作曲し、カップリングして1つの作品に仕上げ、出版しました。


コンサートホールのシートでお聴きになっているイメージでお楽しみ下さい!