生を見つめる

クリスマスに因んだ曲を選んで演奏動画にあげていますが、曲調も内容も異なった「戦場のメリークリスマス」を取り上げました。

1983年、大島渚監督の映画のテーマ音楽を手掛けた坂本龍一の代表作のひとつで、英国アカデミー作曲賞を受賞しました。

イントロ、主題、中間部、再現部…それぞれ曲調がガラリと変わり印象に残る構成ですが、良く聴くとどの部分も共通した和声進行を用い、緊密に結びついていて「さずが教授!」と唸らせます。

 

映画の舞台は、戦時下のジャワ島。

日本人俘虜収容所を舞台に極限状態の中で出会った男たちの複雑な人間関係と心情、日本と西欧の文化の違いを織り交ぜ展開していく作品です。

坂本氏は重要なキャストの一人・収容所所長のヨノイ大尉役で出演しています。

出演オファーがあった時、「音楽を担当させてくれるのなら出演する。」と条件を提示したそうです。

音楽人としての誇りと自信、チャレンジ精神でしょうか…素晴しいですね!

そして収容者の中で圧倒的な存在感放つセリアズ少佐にデヴィッド・ボウイ。

(余談ですが、ボウイのコンサートツアー・日本公演に彼のファンの友人に招かれ聴かせていただきました。)

信念、葛藤、美学…人の内面に渦巻くそれらを湛えた大島渚ワールド。

久しぶりに見てみたくなり、自宅TVで検索して鑑賞。

以前見たときより、何故か胸に迫るものがありました。


坂本氏の音楽作品にベルトルッチ監督作品「ラストエンペラー」がありますね。

清朝最後の皇帝、後の満州国皇帝となった愛新覚羅溥儀の波乱の生涯を描いた素晴しい作品。

1987年、アカデミー賞では9部門全ての賞を独占!

坂本氏は日本人初のアカデミー作曲賞受賞者となりました。

時代、国、人々の思惑に翻弄され、歴史の渦に飲みこまれていくような人生…効果的な音楽と相まって、心に残る素晴しい映画ですね!

 

音楽や映画を通してそれぞれの生を考えさせられます。

そして自分の生を見つめる機会を与えてくれるようです。

 

では、「戦場のメリークリスマス」を。