楽曲の表情、いわゆる曲想をつけて弾く手がかりになるのが、楽譜上に記されている標題や様々な記号、発想標語です。
曲のタイトルから色んなイメージを膨らませて豊かな表現を試してみる・・・
とても楽しい試みですね!
但し、作曲者自身が命名していないのに重きを置いてしまったり、言葉の解釈を誤ったりしてしまうと困りますが・・・
小学2年になったばかりの生徒さんのレッスンでは・・・
バーナムのピアノ教本で奏法の基本練習を行った後、ギロックの作品を2曲レッスン。
1つは<タランテラ>
「どんな感じに弾いたらいいかな?」との問いに「熱く踊ってるように」との答え。
まさに情熱的なダンスで、♪タッタ タッタ/タッタ タッタ・・・と言う飛び跳ねるようなリズムが特徴ですね!
毒蜘蛛タランチュラに刺された人が踊り狂った・・・イタリアの伝説に由来するとも言われ、急速なテンポで躍動感が溢れています。
初歩のエチュードの代表格・ブルグミュラーの25のエチュードにも「タランテラ」があり、芸術的な作品としてはショパンやリスト(ヴェネチアとナポリの終曲)も作曲しています。
声楽曲ではロッシーニ作曲の「ラ・ダンツァ」(踊り)が有名で、その特徴を十二分に表した作品です。
ピアノレッスンに話を戻しますと・・・
頭では曲想を理解しているのに、ミスタッチをしないことに囚われ過ぎて、返って手指が固くなり、十分表現できませんでした。
そこで、バーナムでもトレーニングした無駄な力を抜いた、自然で柔軟なフォームを再現し、弾いてみました。
・細かい音符こそ指の重さを利用して柔らかい状態で鍵盤にタッチすること。
・強い音を出す時は打鍵のスピードを増して調節すること・・・など。
そして「自分がこの曲から感じている『熱さ』だけを考えて弾いてみよう!」とアドバイスしました。
すると、運動性を持った自然な奏法が甦り、強弱の幅も広がり、生気に満ちた音楽になりました!
曲のテーマを明確にイメージすることで、一気に演奏の魅力アップ!
演奏の完成度を上げるのには、色々課題が出てきますが、前向きに取り組んでいるリトルピアニストにエールを送り続けたいと思います。